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80年代までの靴

ファッションにおいて、靴というものは、さほど重要な存在ではありませんでした。

近現代ファッションは、20世紀に入ってから開拓された比較的新しい文化で、それまでの女性はコルセットで腰回りを締め付け、地面を覆うほどの長いスカートを履いていたのです。

靴はスカートに隠れてしまいますから、いくら靴のデザインや素材に凝っても、決してお洒落とは見なされません。

20世紀の中頃には世界的な戦争も起き、靴はデザインよりも機能性が重視されました。

「足元のファッション」が脚光を浴びるのは1980年代に入ってからのことです。

80年代当時、イギリスで最もラグジュアリーな靴を作るのは、マノロ・ブラニクでした。

スペイン出身の彼は製靴を学んだことはありませんでしたが、デッサンのセンスがファッション・デザイナー、オジー・クラークの目に留まり、彼の1972年のショーでシューデザインを提供したことがきっかけで、製靴に目覚めたのです。

彼は1970年代中頃に、初めて自分の店をオープンしました。

しかしその後、マノロに匹敵するデザインを提供するブランドはなかなかなく、ファッション誌はマノロがリリースした靴の別カラーバージョンを、ジミーに発注することもあったのです。

このように、80年代までは、靴がラグジュアリーなものとして認識されていませんでした。

ジミーの本格的なブレイクも、90年代初めまでは叶わなかったのです。